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エントリー「コア・ステラ通信2016年8月号」

コア・ステラ通信2016年8月号

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平成28年8月号(第12号)

社会保険労務士法人コア・ステラ通信

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「解雇」をめぐる訴訟・労働審判の特徴と解決金決定の判断要素

◆元裁判官の視点

bg-newsletter12-1 従業員を解雇した場合、最終的には「労働審判」や「訴訟」に持ち込まれるケースがありますが、裁判官は解雇事案をどのように見ているのでしょうか?
今年4月に開催された厚生労働省の会合において、裁判官として36年の経験を持つ難波孝一氏(現在は弁護士)が解雇事案の傾向等について語った内容が同省のホームページで公開されていますので、その内容を一部抜粋してご紹介いたします。

◆訴訟における解雇事案の特徴

まず、訴訟の解雇事案では、労働者は会社で働くことを求めている事案が多く、「地位確認」を求めてくる事案が多いそうです。

◆労働審判における解雇事案の特徴

一方、労働審判の解雇事案では、労働者は会社を辞めることを念頭に置きながら、金銭解決を求めてくる事件が大多数だそうです。
そのため、会社で働くことを希望する労働者は、労働審判ではなくて仮処分で「地位確認」を求めることが多いようです。

◆解雇における解決金の判断要素

解雇事案では、最終的に解決金の支払いにより和解となるケースが多いですが、解決金額の判断要素にはどのようなものがあるでしょうか?
この点、難波氏によると、「解雇が有効か無効かの確度」、つまり訴訟であれば裁判官の心証、労働審判であれば委員会における心証が最大の判断要素になるとのことです。
また、「会社や労働者の経済状況」や、「会社がその労働者に辞めてもらいたい気持ちの強さ」、「労働者がその会社にずっと勤務して頑張りたいと思っている気持ちの強さ」といった点も影響し、さらには「解決に要する期間が今後どのぐらいかかるか」、「労働者の在職期間がどのくらいか」といったこと等も含め、総合的に判断されるようです。

2016年の「賃上げ」に関する状況は?

◆賃上げの波は続いている

景気の不透明感が叫ばれている中、企業の賃上げの動きは継続中のようです。
株式会社東京商工リサーチが今年5~6月に実施した2016年の賃上げ状況に関するアンケート調査(有効回答8,097社)によると、今年、賃上げを実施した企業が6,483社と約8割を占めたそうです。
賃上げ幅としては「月2,500円未満(年3万円未満)」がほぼ半数を占めています。

◆人材確保のために中小企業でも実施

上記調査では、賃上げの理由についても質問しており、「従業員の定着・確保を図るため」との回答が約7割を占めたそうです。
また、中小企業ほど人材確保のための措置として賃上げを実施している実態がわかりました。

◆人材確保面で格差が広がる可能性

賃上げの実施は、実際に人材確保に影響を与えているのでしょうか。
株式会社マイナビが運営する「マイナビ転職」が実施した「2016年ベースアップの実態と転職意識調査」によれば、ベースアップ(ベア)の有無やその金額が転職意向に与えた影響について、「(べアが)想定より多かった」層のうち、「転職意向は弱くなった」との回答が25.0%(前年比10.8ポイント増)で、前年より増加したそうです。
賃上げには転職意向を弱める効果が少なからずあることがうかがえます。
一方、賃上げを実施しない企業の理由としては「業績不振」が大きな理由になるところだと思いますが、人材確保への投資が不十分となると、人手不足によりますます業績にマイナスの影響が及ぶ可能性も指摘されています。

◆賃上げ以外のアピールも必要に

人材流出回避のためには、他社の動向も注視しながら、会社の資力を考慮したうえでの賃上げの実施は有効です。一方で、賃上げを実施しない企業にとっては、他社から取り残されないためにも給与面以外(働きやすさ、職場の風通しの良さ等)のアピールも検討すべきでしょう。

◆8月度の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]

  • 31日
  • 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
  • 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)
    <雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

編集後記

bg-newsletter12-2 今年から、8月11日は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日として、国民の祝日「山の日」となりました。「八」の文字が山の形に見えるため「8」、木が立ち並ぶイメージから「11」にしたとする説もあり、とても興味深く感じました。