コア・ステラ通信2016年11月号
お役立ち情報 |平成28年11月号(第15号)
社会保険労務士法人コア・ステラ通信
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「配偶者控除の存続・廃止」の議論で家族手当が変わる?
◆配偶者控除、一転して存続へ
政府・与党は、「働き方改革」の一環として議論が進めてられていた所得税の配偶者控除廃止について、来年度は見送りにすることを決定しました。廃止から一転、対象範囲を広げるべきという議論も出てきています。
現時点でこの「配偶者控除」の先行きは不透明ですが、これが企業に与える影響について考えてみましょう。
◆会社員の妻の多くは「103万円の壁」にあわせてパートに出ている会社員の妻がパートなどで収入を得ると、年収に応じて以下のものが発生します。
- 100万円以上:住民税が発生
- 103万円以上:所得税が発生(夫の配偶者控除がなくなる)
- 106万円以上:一部に社会保険料が発生(今年10月以降、一定要件を満たす者のみ)
- 130万円以上:全員に社会保険料が発生
- 141万円以上:夫の配偶者特別控除がなくなる
今回議論されているのが年収103万円以上の部分で、いわゆる「103万円の壁」です。
パートとして働く「会社員の妻」の多くが、この「103万円の壁」を超えないよう調整しているのは周知の通りです。
◆多くの企業も「103万円の壁」に合わせて配偶者手当を支給
一方で企業側も、「103万円の壁」に合わせて家族手当(配偶者手当)を支給しています。年末調整において、容易に確認できるからです。
◆配偶者控除に影響されない家族手当の議論
将来的に配偶者控除が廃止されるにせよ、逆に対象範囲が拡大されるにせよ、「103万円の壁」を基準として家族手当(配偶者手当)の額を定めている多くの企業はその基準を失うこととなります。多くの企業は、従来のままの家族手当制度を見直すべき時期に来ているのかもしれません。
初の「過労死等防止対策白書」 その内容とは?
◆法施行後、初の白書
政府は、平成26年に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき、年次報告書「過労死等防止対策白書」を初めて公表しました。
この白書は、業界ごとの長時間労働の現状や過労死等の実態を解明するための調査研究、平成27年度に行われた過労死等防止対策の取組み、民間団体の活動等が記載されており、過労死や過労自殺の現状や防止策などを280ページにわたってまとめられています。
◆「残業80時間超」企業の割合は?
企業へのアンケート調査によると、1年のうち1カ月の時間外労働時間が最も長かった正規雇用従業員について、過労死ラインとされる時間外労働時間月80時間を超えると回答した企業は22.7%でした。
業種別に見てみると、「情報通信業」(44.4%)が最も多く、「学術研究、専門・技術サービス業」(40.5%)、「運輸業、郵便業」(38.4%)が続いています。
また、残業の発生する理由としては、「業務量が多い」「人員不足」「業務の繁閑の差が激しい」「顧客からの不規則な要望に対応する必要がある」等を挙げる企業が多くなっています。
労働者への「残業時間別の疲労度蓄積度、ストレスの状況」の調査では、残業時間が長いほど「疲労蓄積度」と「ストレス」が高いと判定される割合が多く、正社員の36.9%が高ストレスと判定されたことがわかりました。
◆現状を知るためには周知・啓発が必要
白書の第3章では、過労死等の防止のための対策の実施状況が報告されています。
労災認定事案等の分析や、ポスター、パンフレット・リーフレット、新聞広告、Web広告、Webサイト等による周知・啓発、相談体制の整備等の実績を報告しています。
なお、厚生労働省のホームページでは「過労死等防止対策白書」のダウンロードが可能であり(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html)、10月下旬からは政府刊行物センターなどで販売予定とのことです。
◆11月度の労務の手続提出期限[提出先・納付先]
- 30日
- 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
- 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
編集後記
今年の6月号で、上田市の北側にある太郎山に登ったことを書かせていただきました。最近は紅葉がきれいなうえに、空気が澄んで天気の良い日はとても気持ちよい登山ができます。深まりゆく秋をもう少し楽しみたいと思っています。