コア・ステラ通信2017年7月号
お役立ち情報 |平成29年7月号(第23号)
社会保険労務士法人コア・ステラ通信
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厚生労働省が労働法令違反による送検企業名をHPで公表
◆全国の労働局の送検企業を一覧で公表
厚生労働省は5月上旬、長時間労働や賃金不払い、労災につながる安全配慮義務違反などの労働関係法令に違反した疑いで書類送検した企業名を、同省ホームページに掲載しました。
掲載されたのは334件で、全国の労働局が昨年10月以降に書類送検した企業・事業所名、所在地、公表日、違反した法律、事案概要などを県別に並べたものです。
各労働局の発表内容を一覧表にまとめて公表したのは初めてのことです。
◆安衛法違反の事例が最多
公表されたリストの内訳をみると、企業が安全対策を怠った労働安全衛生法違反が209件で最も多く、次いで賃金未払いなど最低賃金法違反が62件、違法な長時間労働をさせるなどした労働基準法違反が60件、労働者派遣法違反19件などとなっています。
労働基準法違反では、女性社員が過労自殺した電通や、社員に違法な残業をさせた疑いで書類送検されたパナソニック、労災事故を報告しなかった疑いで書類送検された日本郵便などの大企業も含まれています。
また、他にも三六協定で定めた時間を超える違法な残業をさせた疑いで、印刷会社や運送会社などが書類送検されています。
同じ会社が複数回書類送検されたケースもあり、地域別では最も多かったのが愛知労働局の28件、次いで大阪労働局の20件、福岡労働局の19件となっています。
◆一覧は毎月公表、掲載期間は1年
厚生労働省は各労働局に対し、企業を書類送検したら公表するよう通達していますが、これまでは報道機関に資料を配布するだけの労働局が大半で、企業名をHPで公表する労働局は大阪や岩手など7局だけでした。
今回の公表は、昨年末に発表した「『過労死等ゼロ』緊急対策」の一環で、同省は「一覧表にすることで社会に警鐘を鳴らす狙いがある」としています。
なお、今後は月に一度内容を更新する方針とのことであり、公表期間は書類送検した日から約1年ですが、期間中に違法状態を改善した企業名はホームページから削除されるそうです。
企業が実施するメンタル不調対策が的を射ていない!?
◆ストレスマネジメントに関する調査
一般社団法人日本経営協会が実施した「組織のストレスマネジメント実態調査」の結果から、メンタルヘルス不調の要因と企業が行う対策がうまくかみ合っていない状況があることがわかりました。
この調査は、2016年12月から2017年1月にかけて行われました。
企業におけるストレスチェック制度の進捗状況やストレスマネジメント全般の状況、今後の課題等について、「勤務先事業所の現状」「メンタルヘルスに関する取組状況」「ストレスチェック制度の実施状況」「職場環境の改善」についてまとめられています。
◆要因と対策にズレがある
この調査の中で、「職場環境の改善」について、メンタルヘルス不調者を出さないために企業が行った対策は、
1位:「超過勤務(残業)時間の削減」(69.4%)
2位:「従業員のハラスメントに対する知識と意識の向上」(44.2%)
3位:「ハラスメント防止・対策の強化」(35.5%)
という結果となっています。
一方、メンタルヘルス不調者が発生する主要因としては、
1位:「職場の人間関係」(64.3%)
2位:「本人の性格」(43.7%)
3位:「上司との相性」(40.0%)
となっており、対策のほうで1位となっている「長時間労働」は、要因としては6位となっています。
つまり、要因と対策がかみ合っていないことがうかがえます。
◆スキル不足と人員不足
また、ストレスマネジメントを実施するうえでの問題として、専門知識やスキルを持つ人材がおらず、マネジメントとの中心となる上司自身も多忙で手が回らないことがあるようです。
こうした状況で、部下のマネジメント対策を行う上司がメンタル不調に陥ってしまっては意味がありません。
◆経営戦略としてのメンタルヘルスマネジメント
メンタルヘルス不調の主要因が、職場のコミュニケーションや人員構成にあるとすれば、その対策には労働時間等に関する個別の労務管理はもとより、「ストレスなく健康に働くことを尊重する雰囲気・マインドを醸成する」という視点での全社的な取組みが重要となるでしょう。
◆7月の労務の手続提出期限[提出先・納付先]
- 7月31日
- 労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]
<休業4日未満、4月~6月分> - 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
- 外国人雇用状況告(雇用保険の被保険者でない場合)
<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
編集後記
これから暑い日が続きますが、体調には十分お気をつけてお過ごしください。