エントリー「ステラ通信2023年2月号」

令和5年2月号（第89号）

社会保険労務士事務所 ステラ通信

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今月のトピックス

◆雇用調整助成金不正受給187億円に

雇用調整助成金のコロナ下での不正受給が、昨年12月末時点で1,221件、総額1876億8,000万円に達したことがわかり、前回集計した9月末時点より301件、51億9,000万円増加しました。労働局が調査を強化したことで不正発覚が急増する一方、昨年12月末までにペナルティー分も含めて、厚労省が回収したのは総額の7割弱にあたる128億7,000万円となりました。

◆小学校休校等対応助成金 3月末で終了

厚生労働省は、コロナ対応で休校時に子供の世話のために仕事を休んだ保護者向けの「小学校休業等対応助成金」を3月末までで終了することが決定されました。

◆出産育児一時金 8万円増額

政府は、出産一時金を4月1日から8万円増額し、48万8000円とする政令を閣議決定しました。産科医療補償制度の掛金1万2000円を含めて総額は50万円となります。総額の引上げは2009年10月以来で、過去最大の上げ幅となるとしています。

ミニ労務

〜業務命令に従わない従業員に懲戒処分を科す場合の注意点〜

弁護士藤井康弘著より抜粋

◆業務命令違反について懲戒処分を科すことも、問題社員に業務命令違反を続けるようであれば、現在の職場で評価されることはないことに気付かせるために有用な方法の一つです。
懲戒処分については、法律や判例で厳格なルールが定められていますので、それに則って行わなければ、裁判では無効と判断されてしまうことがあります。

「懲戒処分の目的」
目的 1:問題行動をおこした本人に制裁を加えることで、企業秩序を維持する
目的 2:従業員全員に対し、懲戒処分を受けた従業員の問題行動が許されない行為であることを示し、企業秩序を維持する

◆このように、懲戒処分は問題行動を起こした従業員本人にのみ向けられたものではなく、従業員全員に向けられたものであると考えるべきです。業務命令に従わない従業員に対して、適切な懲戒処分を行うことは、本人に問題行動についてのけじめをつけさせ、かつ社内の他の従業員に対して、会社が問題行動に対して放置せずに制裁を科すということを示して社内の秩序を維持する意味があります。

「懲戒処分の種類」
①戒告・譴責・訓戒(かいこく・けんせき・くんかい)
頻繁な遅刻など勤怠不良や無断欠勤、または報告書の提出を拒否するなどの比較的軽微な業務命令違反が該当します。文書で指導し、経済的な意味での制裁にはなりません。ただし、懲戒 処分を受けたことを、合理的な範囲で昇給や賞与の査定において考慮することは可能です。多くの会社で、最も軽い懲戒処分として定められており、始末書を提出させることを就業規則で定めています。
②減給
この減給処分については、労働者保護の立場から、法律の限度額が設けられております。1回の問題行動に対する減給処分は、1日分の給与額の半分が限度額です。(労基法91条) 遅刻や無断欠勤、あるいは業務上のミスや業務の指示に対する違反について、すでに始末書を提出させたりしているにもかかわらず、さらに繰り返される場合に適切です。
③出勤停止
職場内の暴力、重要な業務命令の拒否、あるいは職務の放棄により会社に損害を与えたケースについては、出勤停止処分を検討すべきです。出勤停止期間は給与は無給とする処分です。
④降格
管理職による社内の重要なルールに対する違反や、部下に対するセクハラ、パワハラについては、降格の懲戒処分が行わるケースがあります。降格すると、役職給などが下がることが通常で経済的な打撃は大きくなります。

深夜労働との関係
深夜(22:00~5:00)の時間帯に1ヶ月60時間を超える法定労働時間外労働を行わせた場合は、深夜労働の割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。

法定休日労働との関係
休日労働については時間外労働とは区別されるため、法定休日労働の割増賃金「35%」が適用されます。
ただし、法定外休日に労働した場合は時間外の扱いとなるため、月60時間の時間外労働時間の算定に含めることとし、実際に法定外休日労働が月60時間を超える時間外労働に該当する場合には「50%」の割増賃金率を適用します。

雑記

　春のはじまりと言われる立春が過ぎて、なんとなく日中は春の兆しを感じるこの頃です。岸田首相の「異次元の少子化対策」発言が話題となりました。「異次元」とは?異次元という以上、どんな凄い対策なのかと誰も思ったのでは・・。人口減少問題の第一人者である河合雅司氏は、「異次元」とは程遠い政策に対し、〖異次元の少子化対策に「挑戦する」としているだけで、「実施する」とは述べていない。挑戦なら誰でもできる。岸田首相といえば“検討使”と揶揄されている。「検討しましたが・・」といったことに終わるのではないかと嫌な予感がする。〗こんな記事をみて、確かにと、同感してしまいました。少子化は、今もこの先も日本に大きな問題であると強く感じます。