ステラ通信2023年4月号
お役立ち情報 |令和5年4月号(第91号)
社会保険労務士事務所 ステラ通信
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今月のトピックス
◆常態化する企業の人手不足 帝国データバンクより
人手不足企業は5ヶ月連続で5割超と続いております。採用活動に苦戦する企業が多くみられるなか、人手不足が常態化している企業はすくなくありません。2023年1月に帝国データバンクの調査によりますと、正社員の人手不足企業の割合は51.7%、非正社員では、31%と高水準となっています。業種別では、正社員、非正社員いずれも「旅館・ホテル」がトップで、7〜8割の高水準となっています。
◆2023年度の賃金動向に関する県内の意識調査 帝国データバンク
調査期間は2023年1月18日〜1月31日。調査対象は県内の606社で有効回答企業数は273社(回答率45%)
1. 2023年度、企業の61.2%で賃金改善見込み、ベアは過去最高
2. 賃金改善の理由・「物価動向」が急増・「従業員の生活を支えるため」も7割超
3. 総人件費は平均3.94%の増加を見込み、企業業績の改善が鍵
4. 非正社員は企業の26.7%で賃金改善「あり」
ミニ労務
☆ 定年前とは異なる職務内容で再雇用契約をすることは可能か ☆
Q.定年後再雇用者については、身体的・体力的な事情なども考えられるので、業務負荷を軽減し、次世代へのノウハウの継承を行ってもらうなど、定年前とは異なる職務内容で契約したいと考えていますが、こうした対応は可能でしょうか。また、その際に、職務内容に応じて賃金を引き下げることは問題でしょうか。
A.定年前と異なる職務内容、所定労働日(所定労働時間)を提示し、それに応じて賃金を引き下げることは可能です。しかし、定年前の職務内容と賃金を全く考慮せずに、大幅な変更を行う場合は違法となります。
◆定年後再雇用制度は、定年に達した者に関して、65歳までの雇用の維持を求めているのみであり、定年前の労働条件と同一の内容で雇用することを義務づけるものではありません。会社が合理的な裁量の範囲内の労働条件を提示していれば、たとえ労働者と使用者の間で労働条件等に関して合意が得られず、結果として再雇用ができないとしても、違法となるものではないと考えられます。
◆業務内容の変更について違反とされた事例
定年前にデスクワークを中心とする事務職に従事していた労働者に対して、定年後再雇用後の業務として、シュレッター機のゴミ袋交換、清掃等を提示していました。
裁判所は、定年前の業務と定年後の業務が「全く別個の職種で性質の異なったものである場合には、継続雇用の実質を欠いており、通常解雇を相当とする事情がない限り、そのような業務内容を提示することは違法とされました。
◆再雇用者の職務内容を検討するに当たっては、可能な限り定年前に従事していた業務の経験やスキルを生かすことができる内容で提示できるようにすることが望ましいでしょう。
◆賃金の減額についても、大幅な減額は、業務内容等の変更があったとしても違法となる可能性が高いと言われます。違法となる減額幅に明確な基準はありませんが、4割以上の賃金減 額となる労働条件の提示は違法性が指摘される一つの目安と考えられます。
〜パワハラ対応事例〜
メンタル疾患を発症してしばらく休職していた従業員について、休職期間満了時点でも復職可能の診断書が提出されず自然退職で雇用契約が終了するかと思われたところ、従業員から「実は上司からパワハラを受けていた」との申出がなされた場合の対応
◆一般的に就業規則で定められている休職制度は、基本的に業務外で、私傷病による欠勤や不完全な労務提供があった場合などを前提にしています。
◆そして、休職制度の最大の特徴は、休職満了時点において復職できない場合には、期間満了をもって「自然退職」という効果が発生するという点です。
実務上多いトラブルは、休職期間満了間際になって「復職可能」や「軽作業なら可能」という診断書が出てきて、本当に復職できる状態なのか否かで争われることです。
◆設例のように、現時点でまだ回復しておらず、診断書も復職可能との診断は出ていない状態であり、復帰はできないことは明らかです。
なぜ私傷病か否かが問題になるのは、休職期間満了時点において、自然退職の効力が生ずるためには、1休職命令が正しく発令されていること2休職時点で治癒していないことが必要です。
ポイント
- 休職期間満了間際であってもパワハラ相談があれば対応します。
- 「今さら遅すぎる」など相談が遅れたことを批判する言動はしないようにします。
- 調査のため休職期間を延長することも検討します。
雑記
WBC世界一奪還見事でした。栗山監督をはじめ、大谷の投打二刀流の最高野球人、そして準決勝、決勝戦は世界一の目標に向かって、日本代表チームが一丸となった野球の凄さに本当に感動しました。世界一奪還により、多くの日本人は野球の面白さを感じ、今もWBCの話題が楽しく語られています。
4月から食料品の物価上昇に家庭では大変となっている中で、日本の食料自給率が依然として4割以下の低い水準に留まってようです。ロシア、ウクライナ戦争が始まって以来、世界的に食料自給に対する危機感が高まっている中、岸田政権は防衛費増強の必要性をと言っています。国民の命を守る食料の確保は十分なのか、米や小麦、トウモロコシなどの穀物だけに絞った「穀物自給率」も日本は28%の状況に減反政策は止めた方がよいと言われていますが、どうなるでしょうか。。