コア・ステラ通信2017年3月号
お役立ち情報 |平成29年3月号(第19号)
社会保険労務士法人コア・ステラ通信
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厚労省が策定した「労働時間適正把握ガイドライン」のポイント!
◆1月20日に公表
近年、労働時間削減は多くの企業において喫緊の課題となっており、政府の「働き方改革実現会議」でも長時間労働の是正について様々な議論がなされています。
昨年12月には厚生労働省から『「過労死等ゼロ」緊急対策』が公表され、“違法な長時間労働を許さない取組の強化策”として以下の項目が挙げられていました。
(1)新ガイドラインによる労働時間の適正把握の徹底
(2)長時間労働等に係る企業本社に対する指導
(3)是正指導段階での企業名公表制度の強化
(4)36協定未締結事業場に対する監督指導の徹底
このうち上記(1)に対応するものとして、厚生労働省から1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定・公表されました。
◆本ガイドラインで注目すべき点
従来の通達と今回のガイドラインを比較してみると、「労働時間の考え方」という項目が新たに追加されました。
この項目では、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと」であり、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は「労働時間に当たる」とされ、業務の準備や後始末の時間、手待時間、研修等の時間であっても労働時間に該当する例も示されています。
また、「使用者が講ずべき措置」の内容が従来の通達よりもかなり具体的に示されました。
特に自己申告制により始業・就業時間の確認等を行う場合の措置について、労働時間の管理者に対して「本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと」を使用者に求めており、労働者の自己申告により把握した時間とPCの使用時間の記録等により判明した時間に“著しい乖離”が生じている場合には実態調査を行って労働時間を補正すること等を求めています。
その他、「36協定」や「賃金台帳の調製」についての注意点も記載されていますので、本ガイドラインに一度目を通しておき、今後の労働時間管理に活用することをお勧めいたします。
「雇用保険法」「育児・介護休業法」等が改正に! 企業への影響は?
◆通常国会に法案提出
現在開会中の通常国会に「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が提出されました(1月31日)。雇用保険法、労働保険徴収法、育児・介護休業法、職業安定法に関わる改正となっていますが、企業に影響のある改正を中心にみていきます。
◆失業等給付に係る保険料率および国庫負担率の時限的引下げ
平成29年度から平成31年度までの各年度における雇用保険料率および国庫負担率が、時限的に引き下げられます。
雇用保険法、労働保険徴収法に関わる改正で、平成29年4月1日の施行予定です。
◆育児休業に係る制度の見直し
現在の育児休業は原則1歳までで、保育所に入れない場合等に限り1歳6カ月まで延長が認められていますが、改正により、さらに6カ月(2歳まで)再延長できるようになります。また、それに合わせて育児休業給付の支給期間も延長となります。
育児・介護休業法、雇用保険法に関わる改正で、平成29年10月1日の施行予定です。
◆職業紹介の機能強化および求人情報等の適正化
(1)ハローワークや職業紹介事業者等のすべての求人を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返すブラック企業の求人は受理されなくなります。現在は、ハローワークにおける新卒者向け求人のみが対象となっていますが、改正が行われれば中途やパートなどすべての求人が対象となります。
他にも、(2)会社が虚偽の求人申込を行った場合、罰則の対象となります。また、(3)採用時の条件があらかじめ示した条件と異なる場合等には、その内容を求職者に明示することが会社に義務付けられます。
いずれも職業安定法に関わる改正で、(1)は公布から3年以内、
(2)(3)は平成30年1月の施行予定です。
◆3月の労務の手続提出期限[提出先・納付先]
- 31日
- 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
- 外国人雇用状況告(雇用保険の被保険者でない場合)
<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
編集後記
3月から4月にかけて、「協会けんぽ」の健康保険料(介護保険料含む)、雇用保険料の料率が変更となります。詳細は同封いたしました資料をご確認ください。なお、ご不明な点ございましたら、お気軽にお問い合わせください。