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エントリー「コア・ステラ通信2018年7月号」

コア・ステラ通信2018年7月号

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平成30年7月号(第35号)

社会保険労務士法人コア・ステラ通信

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調査結果にみる中小企業の人手不足等への対応

◆人手不足の中小企業が4年連続増加

 日本商工会議所は、全国の中小企業4,108社を対象に実施した「人手不足等への対応に関する調査」の結果を発表しました。それによると、回答した2,613社のうち、1,731社(65.1%)が「人手が不足している」と回答しており、4年連続で割合が上昇していることから、中小企業の人手不足が悪化していることが浮き彫りとなりました。

◆人手不足が深刻な業種

 業種別に見ると、「宿泊・飲食業」の79.1%の企業が「不足している」と回答し、「運輸業」(78.2%)、「建設業」(75.6%)が続きました。特に飲食業は、「求人募集を出しても人が集まらない」「採用してもすぐに辞めてしまう」など問題が深刻化しています。また、人手が不足しているが人員を充足できない理由について、採用の面では「立地する地域に求めている人材がいない」という回答が多く、これは人口減少や大都市圏への流出などによるものと考えられます。

◆人材確保のために取り組んでいることは?

 同調査での多様な働き方に関する取組みついての設問では、約5割の企業が「長時間労働の削減」「再雇用制度」を、約3割の企業が「年休取得の促進」「子育て・介護休暇制度」を実施していることがわかりました。それによって得られた効果として、「高齢者の活躍促進」「人材の確保(退職者の減少)、定着」「従業員のモチベーション向上」などが挙げられています。

 また、外国人材の受入れについては、「受入れのニーズがある」「雇用するか検討中」と回答した企業は合わせて1,145社(42.7%)だったことから、外国人の雇用に関する関心が高いことがうかがわれます。しかし、コミュニケーションのとりづらさや文化の違い、雇用する際の手続きの煩雑さなどに課題があるようです。

◆「人手不足対応アドバイザー」を全国に配置

 中小企業庁は、昨年「中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」を取りまとめ、5月には地域の相談に応じる相談員「人手不足対応アドバイザー」を全国のよろず支援拠点に配置しました。人手不足は、業種や地域によって問題が様々ですので、専門家に相談することによって具体的な解決策が得られるかもしれません。

長時間時間労働はここ10年でどのくらい減ったのか?

◆月240時間以上の長時間労働、10年で減少

 月に240時間以上の長時間労働をしている人が、この10年間で減少したことが、東京大学社会科学研究所の石田浩教授らの調査でわかったと報じられました(朝日新聞5月18日付)。報道によれば、月に240時間以上の長時間労働をしている男性の「典型雇用」(正社員など)では、2007年の35.4%から、2017年は23.7%まで減少しました。同じく女性の典型雇用でも12.1%から8.2%に減少。「非典型雇用」(契約社員など)でも減少傾向が見られました。

◆月240時間労働は過労死ライン

 月に240時間以上の長時間労働(月の労働日を20日として、1日12時間以上の労働)は、いわゆる「過労死ライン」に抵触する危険な水準です。労働災害認定となった際には業務との因果関係が認められやすくなります。労働者・企業の双方にリスクがある危険な働き方です。減少傾向にあるとはいえ、23.7%という結果は、いまなお高いというべきかもしれません。

◆帰宅する時間も早まっている

 また同調査では、働く人の「平均帰宅時間」も早まったことがわかりました。この10年間で、男性は午後8時2分から同7時48分へ、女性は午後6時48分から同6時1分へ、それぞれ短縮しました。過労死ラインレベルの長時間労働だけでなく、平均的な労働時間も短縮しているといえそうです。

◆働く人の意識は変化し続ける

 帰宅時間については、より長いスパンで比較した調査もあります。シチズン時計株式会社「『ビジネスマンの生活時間』35年の推移」によれば、「「遅い」と感じる帰宅時間」は、1980年から2000年までは「23時」がトップでしたが、2010年には「22時」がトップ、2015年には「21時」がトップと、この35年間、年々早まる結果となりました。同調査は、リーマン・ショック(2008年)や東日本大震災(2011年)の影響から生活様式が見直され、働き方にも意識の変化が見られる、と指摘しています。

 その後も過労死事件の社会問題化や働き方改革等もあり、働く人々の労働時間への意識はさらに高まっています。企業としては、労働者の意識や世相の変化から取り残されないよう、常に注意が必要でしょう。

7月の労務の手続提出期限[提出先・納付先]

  • 7月31日
  • 労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]<休業4日未満、4月~6月分>
  • 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
  • 外国人雇用状況告(雇用保険の被保険者でない場合)
    <雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

編集後記

 サッカーのワールドカップが開催されておりますが、各国の選手の活躍にスポーツの醍醐味を感じています。準決勝、決勝と試合が続きますので、最後まで楽しんで観戦したいと思います。