コア・ステラ通信2019年8月号
お役立ち情報 |令和元年8月号(第48号)
社会保険労務士法人コア・ステラ通信
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賃金等請求権の消滅時効見直しに向け
審議始まる
◆7月1日に検討会報告書公表
厚生労働省の賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会は、7月1日、報告書を公表しました。この報告書は、現在一律2年とされている賃金や年休に関する権利等について、改正民法において短期消滅時効に関する規定が整理されたことを受け、どのように見直すべきか方向性を示したものです。
◆改正民法で消滅時効はどう変わる?
改正民法施行後は、①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または②権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効消滅することとなります。
現行の労働基準法115条では、「賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」と規定されているため、改正民法に合わせた場合、未払い賃金訴訟や年休の繰越し等で企業実務に大きな影響を及ぼすため、改正民法とは別に、検討されてきました。
◆対象により異なる見直し案を提示
報告書は、賃金請求権について、「2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要」としています。未払い賃金訴訟等で使用者に支払いが命じられる付加金についても、併せて検討することが適当、とされています。さらに、労働者名簿や賃金台帳等、3年間の保存義務が課される記録の保存についても、併せて検討することが適当、とされています。なお、年休については賃金と同様の取扱いを行う必要性がないとして、2年を維持する案が示されています。
◆2020年4月から改正される可能性も?
見直しの時期については、改正民法が2020年4月1日から施行されるのを念頭に置いて速やかに労働政策審議会で検討すべきとされており、今秋から議論が始まります。既に経過措置に関する案も2つ示されており、今後の動向が注目されます。
届出の契機が同じものは1回で
労働社会保険手続のルールが変わります。健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の適用事務に係る事業主の事務負担の軽減および利便性の向上のため、健康保険法等に基づく手続きのうち届出契機が同一のものを一つづりとした届出様式(「統一様式」)を設け、統一様式を用いる場合はワンストップでの届出が可能となります。
現在、令和2年1月1日の施行に向けて省令の整備が進められています。
◆改正の内容
次の①~④に掲げる届書については、届出契機がそれぞれ同一であることから、同一の契機で届出を要する届書の届出先を経由して届出できるものとされます。
- 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「新規適用届」、雇用保険法に基づく「適用事業所設置届」並びに労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づく「労働保険関係成立届」
- 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「適用事業所廃止届」並びに雇用保険法に基づく「適用事業所全喪届」
- 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「資格取得届」並びに雇用保険法に基づく「資格取得届」
- 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「資格喪失届」並びに雇用保険法に基づく「資格喪失届」
「労働保険関係成立届」に関する改正省令案を諮問
上記の届出のうち「労働保険関係成立届」に関する改正省令案が去る6月、労働政策審議会に諮問されました。
なお、今回省令案が公表されたのは保険関係成立届のみでしたが、これ以外の適用事業所の設置・廃止の届出、被保険者資格の資格・喪失の届出についても来年1月の施行に向けて順次公表されると思われます。
8月の労務の手続提出期限[提出先・納付先]
- 8月31日
- 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
- 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)
<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
編集後記
最低賃金が引き上げられます!
生労働省の中央最低賃金審議会は、7月30日の議論の結果、地域別最低賃金を全国平均で27円引き上げて、時給901円とする目安を示しました。今後、都道府県ごとに協議が行われ、10月1日より改定される見通しです。
長野県は現行の821円から27円引き上げられて、848円になると思われます。詳細が分かりしだい、お伝えしたいと思います。